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「肥満パラドックス」から考える、指導で大切なこと。

 

こんにちは、理事の神谷です。

 

ここ3日ほど、急に寒くなりました。

先週末まで休日は「半袖ハーフパンツ」で過ごしていたのに、今週は一気に秋物へ。

体調管理には十分に注意していきます。

 

さて、「肥満パラドックス」という言葉があります。

私もその全体像をきちんと理解できていませんが、個人的に興味深いワードです。

痩せている人や過度に体重がある人は死亡リスクが高く、多少太っている方が死亡リスクが低いというものです。

 

「肥満が糖尿病や高血圧、心血管疾患などのリスク要因」というのはよく聞く話です。

が、例えば糖尿病や心疾患、高齢者などの特定の集団においては、肥満は健康に関する有害な事象に対して悪影響というよりも、むしろ寿命にいい影響を与えているという報告が数多くあります。

 

この逆説的な現象を「肥満パラドックス」と言います。

もちろん日本でも万人単位の研究があります。なんだか不思議ですよね。

様々な重篤な疾患の大本の一つ考えられている生活習慣病は、肥満者の方が罹患リスクが高いのに、罹患後は太っていた方が予後が良いなんてことに。

何事にも共通することかもしれませんが、体重も偏ってはいかんということなのでしょう。

この肥満パラドックスをテーマにしたBMIと死亡率の研究には、長い期間の追跡が必要でもあり、時間と手間がかかります。

 

また、ハーバード大学公衆衛生大学院の研究では、2型糖尿病の診断前BMIが過度な痩せ、または肥満の方が死亡率が高くなるというデータもあり、どの時点で何を見るかによって見え方が変わってしまうので視野を広く持ち基本を大事にすることが大切だと考えます。

 

痩せすぎても太りすぎても問題ですが、やせ過ぎてしまうと筋肉量が減ることが大きな問題になります。

いわゆるサルコペニアと呼ばれる状態ですね。

過度なダイエット・減量は将来的な体調や寿命に悪影響を与えてしまう可能性が高くなるようです。

 

出来れば会員さんとして通ってくださる皆様の毎日が、元気で充実したものになってほしい。

そのためにも適度な体重で、適度に筋肉があり、適度に脂肪があり、心身が快活という状態を実現したい。

適正な体格と心身の健康を維持するための取り組みは欠かせません。

 

となると大事になるのはそれを実現するための指導。

もちろん減量指導が必要な方にはしっかりと行うべきですし、増量も然りです。

狭心症や心筋梗塞も、ならない越したことはありませんが、予防すべきことはそれだけではありません。

何かしらのテーマを設定して指導することは必要なことだと思いますが、偏らないようにしたいものです。

狙いを定めて取り組むことと同時に、その方にとって本当に必要なことは何なのかを見極める。

ご本人のご希望と併せながらも、大事なことを伝えていく・指導していくことを大切にしたいですね。

こういったことの啓蒙から教育、実践指導に至るまでを、偏りなく信念をもって取り組んでいきたいと思います。