こんにちは!理事の神谷です。
このほど、東北大学大学院医学研究科より筋力増強運動(いわゆるレジスタンストレーニング)の健康効果について、システマティックレビューおよびメタ解析の結果が、ブリティッシュ・ジャーナルオブスポーツメディスン(電子版)に掲載されました。
内容の詳細は論文を見ていただくとして、個人的に興味深かったのは、その実施量と効果の関係についてです。
がんや心血管疾患、糖尿病、死亡率などとの関連について、量-反応関係の検討をされており、それぞれにメリットの違いなどが示唆されています。
がんや心血管疾患において、運動量と死亡リスクの関係はJカーブ現象が見られたのに対して、糖尿病ではL字現象となっていました。
これはがんや心疾患予防には、やり過ぎには逆効果になりかねないこと、糖尿病予防についてはある程度の実施量を稼いでいく必要があることを示唆しているようです。
これらのことからも、全ての筋力増強運動が一様の結果ではないこと、結果を見ながら指導側がどのようにさじ加減すべきかなど、指導場面においても様々なことが頭を巡ります。
また、これまでこの手の研究は、有酸素運動に焦点を当てた研究が多く、筋力増強運動による予防効果のメタ解析やシステマティックレビューは少なかったと思われます。
その理由はいくつか考えられますが、筋力増強運動は負荷量を適切に保つことが難しく、やろうとするとそれなりにリスクを伴う場合もあったりします。その点有酸素運動は運動量や強度を定量化しやすく、リスク管理も比較的容易で、健康効果が見込まれやすいことなどがあります。
これは私も少しばかりですが医学研究をしてきた経験からも言えることで、筋トレ量の定量化はあいまいなことを言うと学会発表などではヘタすると「炎上?」というくらい突っ込まれることがあります(汗)
筋力強化は、健康上必要な量を適切に行うことが大切ということを改めて認識した次第です。
また、この文献でも指摘されていましたが、運動効果をより良く得るには、筋トレに偏らずに運動を定期的に行うことが推奨されています。
その方の目的・目標やなりたい姿に合わせて、適切かつ必要な質量を指導できるようになりたいものです。
体のために始めた運動が、不適切なレジスタンストレーニングによって不利益を被ることがあってはなりません。
何事もそうですが、ある幅と深さの中で、偏らずに行うことが大切ですよね。
体作りも同様のことが言えると思いますので、そのための必要な情報をきちんと取得し、日々の指導に活かしていきたいと思います。