理事の辰田です。
GO TOトラベルキャンペーンの影響もあってか宿泊業関連の連休の予約は順調らしいですね。
これがコロナ第2波を生み、緊急事態宣言第2弾が出てこないことを祈ります。
今やるべきなのかは賛否が別れるところ。
それでなくとも大半の商売はこれまでの主要な前提条件が大きく変わってしまっているので、今のままの商売ではいずれ立ち行かなくなる可能性があります。
そこで最近よく耳にするのが「ダウンサイズしたニューノーマル・ビジネス」という言葉。
例えば、飲食業では今のところ客の戻りが7割くらいだろうと予測されており、売上が前年対比70%程度なら、固定経費を30%圧縮しないと、利益が出ないことになります。
これがダウンサイズという言葉の一般的な捉え方でしょう。
ニューノーマルとは政府が提唱している「新しい生活様式」に合わせた商売の新しい規範のこと。
同じく、飲食店でいえば、手洗い・こまめな消毒・マスク着用、席数の間引き、席ごとの間仕切り設置、などの状態でしょう。
単純に経営をダウンサイズしてニューノーマルにシフトするという、たった二つのことで、あたかもこれから安定的に利益が出せるかのように主張されている人が多いです。
こんな単純なことで利益が出るとは、商売人は誰も思っていないでしょう。
というか、僕も飲食店を経営しているのでわかりますが、はっきり言ってできません。
しかし、この2つの言葉を立派な学者さんや名の知れたコンサルタントがよく大手媒体で発信しているのを見かけます。
その真意は読み取れませんが、商売をしている人たちがいま確実に予感しているのは、ダウンサイズ、ニューノーマルというレベルではありません。
その先にある今までの自分の商売のビジネスモデルそのものが崩壊するのではないか?ということ。
では、どうすればいいのか。
新しいビジネスモデルを考えて再構築するしかないのか?
正直、それは簡単には思いつきません。
僕はビジネスモデルという考え方それ自体が崩壊しつつあるのではないかと緩やかに考え始めています。
これまでは、ある会社が大きな成果を出した仕組みを、そのまま他の同業者が模倣、実践すれば同じような成果が出ることが多かった。
これからはそうとは限らないでしょう。
なぜなら、一社ごとに、顧客ごとに、前提条件が微妙に、かつ決定的に異なるからです。それが以前より明確になっています。
つまり、商売の仕組みに汎用性がなくなる、ビジネスモデルというひと括りにはできなくなる、そういう時代にビジネス全体が突入し始めたのではないか、、ということです。
そして、そのように考えることによって、ビジネスモデルというこれまで当たり前に使ってきた発想そのものから解き放たれて、自分の商売の独自性を真剣に考えるきっかけになり、これまでのように利益構造を複雑に組み立てて、モデル化をしなくなるのではないか。
そんな全く新しいシンプルな商売の仕組み化の時代が始まると思います。
すなわち、ずーっと前から言われていた「個が活躍する時代」がようやく、本当に、やってくるのでないかと思ってます。
マクロ経済は詳しくわかりませんが、少なくともこれからのフィットネス業界は個をベースに、
「コンパクトでコンタクト重視」の現場。
「シンプルでコネクテッド」な商売の仕組み。
この掛け合わせが主流になっていくと考えています。
これはどこかで見たと思ったらスモールジム協会の考え方、方向性と同じです。
当協会の理事である古屋編集長も近しい概念を発信されていました。
このようなことは、一人で構築して実装してサービスとして完成させられるほど簡単ではありません。
先日のブログで高橋さんも触れていましたが、個を後方支援するサポーターやメンターの存在が必要です。
個の時代になるといえど、個だけで完結するという意味ではありません。
個の集合体が面となり、新たな価値を面で作り上げていく。全体から見れば面ですが、ひとつひとつのお店の顧客から見れば、それは個です。
顧客からすると、個はまだまだ大手のブランドや安心感には敵わないかもしれません。しかし、そのクオリティーコントロールや
経営的なバックアップを協会がサポートすることで、個に武器と盾が加わります。
これは価値ありです。
なぜなら、これまでのような会社やブランドの背面に個(というより組織人)が存在している、という形ではなく、個が前面にいて会社(この場合は協会)は横にいて伴走する形だからです。
これは一言でビジネスモデルです、とは言い難い。上と下、右から左、という従来の構造ではないから。
まだ適切な言葉が見つかっていませんが、工学的にはモーターの仕組みのようなイメージですかね。
それではまた来週。