理事の辰田です。
先週お伝えした通り、本日は問題解決のプロセスについてもう少しだけ踏み込んで考えてみます。
経営する際に「ブラインドスポット」があっては的確な意思決定はできません。全社最適のソリューションを出すには、全てのマネジメントや固有の問題解決手法に関する基礎知識が必要です。大きい組織はもちろんですが、小さい組織でもこれは同じです。
ただし導き出したアプローチを使ってチーム全体のマイクロマネジメントみたいなことにならないよう気をつけないといけません。これは新米マネージャーほど陥る可能性があるといわれているので注意が必要ですね。
スタッフの一挙手一投足を監視するようなことは冒頭に述べたブラインドスポットを助長させることが多いので、ご自身の行動を振り返る機会にもしてみてください。
または上司がいる立場の方は、上司がどのようなプロセスを経て行動をしているかの比較対象としてみてもいいと思います。
それでは本題です。
問題解決を考える際によく用いられる分析方法には「大きさを考える」「分けて考える」「比較して考える」「時系列/変化を考える」の4つの基本的分析手法とそのバリエーションである「過程プロセスを考える」「バラツキを考える」「ツリーで考える」の3つの分析手法に分けて考えるとすっきりシンプルに考えられると思います。
この基本はド定番だし耳タコだと思いますが、改めて確認することに無駄はありませんので最後までおつきあいください。
上記の前提で以下のプロセスを踏むことによって少なからず問題の発見と解決方法を見出すことができると思います。
ただし解決するには「実行できる、行動できる、軌道修正が必要かどうかを確認する」この環境がセットです。
絵に描いた餅にならないように。「解決」できるまでが問題解決です。
【ステップ1】現状分析
急な売上低下に対応するために、まずは会社の診断。ここでは正しく診断するためにこだわりを持って分析する。
「比較して考える」「時系列/変化を考える」が有効です。
【ステップ2】問題認識
会社のリソースは有限です。どの問題に取り組むかを選ぶ。さらに、問題認識においては自分で問題解決が必要だと本当に思っているか?こんなふうに解決できたらいいな!と、自分自身への問いかけを行い心も整えます。問題は他人事ではありません。自分事です。「大きさを考える」が有効です。
【ステップ3】情報収集
この問題は、なぜ起きているのか情報収集を行う。むやみやたらに情報収集をしては効率が悪い。問題には典型的な原因パターンや一定の法則があります。このパターンを頭に蓄積することが経営者として筋の良い仮説を作る第一歩です。コロナの影響はもちろんありますが、なぜコロナを影響を生んでしまったのか?その背景です。4つの基本的分析手法すべてを駆使します。
【ステップ4】課題抽出
沢山集まってきた情報をいかに扱うのか、「多くの情報をまとめる技術」が求められます。そもそも、“まとめる”とはどういう行為なのかを理解することが重要です。グルーピングが定番ですね。まとめることへの理解、洞察がないと問題がいつの間にかすり替わったりします。政府のせいにしても解決になりません。ここが一つの山場です。思考停止が生まれる瞬間です。「過程プロセスを考える」「バラツキを考える」「ツリーで考える」が有効です。
【ステップ5】解決策の方向性
アイデア出しに入る前に、自社の勝ち方を考える。戦略の全体像を理解した上で、自社のどこをどう強化することで勝っていくのか作戦を決定する。ここが二つ目の山場。今の状況では最も難しい部分です。敵はコロナが生んだ価値観の変化。さてどうしようか?「過程プロセスを考える」「ツリーで考える」が有効です。
【ステップ6】アイデア創出
具体的に何をするのかアイデアを創る。アイデアのキッカケは自分自身の思いつきでもいいでしょう。何も立派なことでなくても大丈夫です。しかもコロナの影響なら余計に今までの勝ちパターンは通用しません。わかりやすいのは「マスクが足りないのでマスクを配る」といった「裏返しのアプローチ」、これは最初に思いつくアイデアでしょう。しかしこれは思いつきを進化させることが出来ない典型例です。このような単純なことで解決できる問題はそもそも問題というよりその状態を放置した業務プロセスそのものの問題です。方向性がまとまっていればいろいろアイデアは出てきます。「大きさを考える」「分けて考える」が有効です。
【ステップ7】評価
ピンチの渦中こそ、最後は慎重に選ぶ必要があります。インパクトを実際に生み出すアイデアを選ぶためには、多角的に評価しなければならないです。売上急減が課題の場合の解決策は感染拡大防止、雇用維持、コロナ禍後の競争力強化といった多角的視点からの評価が求められます。どれを選ぶのか?決断の時です。しかしステップ4、5という山場を考え抜いて通過していたならそれほど悩ましくないはず。なぜなら方向性は決まっているから。ここから先は手段です。
以上のような問題解決のプロセスを通過した実効策は成功の確率が高いと思います。
が、こんな流れをキチっと当てはめる必要はありません。全体の流れとして理解してロジックチェックに使う程度でもいいと思います。
右脳と左脳を行ったり来たりしながら、自由に考えるのも重要な考え方です。上記のプロセスはあくまで一例にすぎません。
あとは実行&軌道修正の繰り返し。ここの方がよっぽど重要です。頭もからだも動かしましょう!
それではまた来週。