置き去りにされる大事な価値観と危機時のリーダーシップ

 

理事の辰田です。

 

本日は「置き去りにされる大事な価値観と危機時のリーダーシップ」について。

 

今回の新型コロナの影響を受けて、企業には従業員や顧客とどう向き合うのか、経営の基本姿勢が問われる局面が訪れています。

 

分かりやす部分で言えば、以前から企業には高度な社会的責任(CSR)が求められるようになっています。これまでも大企業を中心に多くの企業が社会貢献を理念に掲げ、着実に社会貢献活動を実行してきました。

 

しかし、今回の危機に直面し、CSRという言葉はピタッと耳にしなくなりました。

「それどころじゃない」というのが経営者の本音でしょう。  

 

余裕があったらやる、余裕がない時はスルー、これでは企業として社会と向き合う姿勢の一貫性を疑われます。しょせんはその程度のものだったのかと。

 

僕も経営者なので気持ちは理解しますが、こうした言行不一致は消費者の反感を買い、何よりも一緒に働く従業員からの不信を招きます。これは共通の理解だと思います。  

 

目の前に危機が迫っている場合、そんなことまで考えられないかもしれません。しかし今、従業員・顧客・社会への向き合い方を間違えれば、ここをギリギリ乗り切ったとしても、中長期的にはプラスにはなりません。

  

しかも現在は、その問題を一気に飛び越えてしまっています。

 

会社存続の危機です。

 

体力が乏しい中小企業を中心に日常の売上が蒸発して経営状態が悪化。従業員のリストラに踏み切るケースがすでに多くの業種で出ています。最たるものは倒産です。

 

リストラ自体を完全に否定することはできないですが、やるべきことをやり切った上でのリストラなのか、従業員はここを見ています。

 

適正なリストラではなかった場合はもちろん、適正だったとしても、会社と従業員には埋めがたい溝ができてしまいます。

 

企業の社会適応力。

 

時代に即して社会の価値観も変わっていく。

 

会社の提供する価値もそれに応じて変えていく必要がある。

 

それを実現するための組織体制も柔軟に変えていく必要がある。

 

これを実行するのがリーダーの役割です。

 

日本電産の永守会長は「50年、自分の手法がすべて正しいと思って経営してきた。だが今回、それは間違っていた。収益が一時的に落ちても、社員が幸せを感じる働きやすい会社にする。そのために50くらい変えるべき項目を考えた。」(2020/4/20日本経済新聞より一部抜粋)と語っていしました。

 

僕は「危機時のリーダーの振る舞い」だと思いました。

 

このような危機に直面し、危機を契機に進化する企業の典型のように思います。

 

僕も「転んでもただでは起きない」そんな経営者でありたいです。

 

口で言うのは簡単です。ここからが問われます。

 

さあ踏ん張ろう!

 

 

※CSRとは

企業が自社の利益のみを追求するだけではなく、すべてのステークホルダー(消費者や投資家に加え社会全体などの利害関係者)を視野に経済・環境・社会など幅広い分野での社会全体のニーズの変化をとらえ、それらをいち早く価値創造や市場創造に結び付けることによって、企業の競争力強化や持続的発展とともに経済全体の活性化やより良い社会づくりを目指す自発的な取り組み。